元利均等返済のしくみ
30年ローンでは借りた額を上回る利息を払うこともある理由、毎回の返済の内訳、そして総額を数百万円単位で変える少数の判断について。
要点
- 元利均等返済では、毎月同じ額を返します。毎回の返済はまずその月の利息に充てられ、残りが元金の返済になります。
- 利息は残高にかかるため、最初の返済はほとんどが利息です。年利6.5%・30年の例では、1年目に払う額の85%が利息です。
- 期間は金利と同じくらい重要です。同じ3,200万円でも、30年なら利息は約4,081万円、15年なら約1,818万円です。
- 繰上返済は直接元金を減らします。この例で毎月1万円多く返すと、利息が約617万円減り、完済が4年近く早まります。
元利均等返済とは
元利均等返済は、ほとんどのローンで使われている返し方です。決まった期間、毎月同じ額を返し、最後の返済で残高がちょうどゼロになります。住宅ローン、自動車ローン、フリーローン、教育ローンの多くがこの方式です。
多くの人が驚くのは、その中身がとても偏っていることです。毎月の返済額は同じでも、何に払っているのかは返済期間の中で大きく変わります。
返済額を決める3つの数字
- 借入額(元金):借りる金額。住宅なら物件価格から頭金を引いた額です。
- 金利:1年あたりの借入コスト。金融機関はこれを12で割って月利を出します。
- 返済期間:返し終えるまでの期間。30年ローンなら360回の返済です。
どれか1つが変われば、毎月の返済額も利息の総額も変わります。このガイドでは、それがどれくらいかを数字で示します。
ほかの返済方式との違い
すべてのローンが元利均等返済ではありません。元金均等返済は毎月同じ額の元金を返すため、最初の返済額が大きく、だんだん減っていきます。リボ払いは残高に応じて支払額が決まり、完済時期が見えにくくなります。元利均等返済は最も見通しが立てやすい方式で、最初から毎月の返済額と完済日が正確にわかります。
毎月の返済額の計算方法
金融機関は標準的な元利均等返済の計算式を使います。毎月繰り返し払うことで、期間の終わりまでに利息と元金をすべて返し終える1つの返済額を求める式です。
M = P × r(1 + r)n ÷ ((1 + r)n − 1)
- M = 毎月の返済額
- P = 借入額
- r = 月利(年利 ÷ 12、小数)
- n = 返済回数
手順どおりに計算してみる
4,000万円の物件を頭金2割で購入し、年利6.5%・30年で借りる例です(説明用の金利です。日本の実際の金利はこれより低いことが多いですが、しくみは同じです)。
- 借入額:4,000万円 − 頭金800万円 = 3,200万円。
- 月利:6.5% ÷ 12 = 0.541667%、小数で r = 0.0054167。
- 返済回数:30年 × 12 = n = 360。
- 増加係数:(1 + r)n = 1.0054167360 ≈ 6.9918。
- 分子:32,000,000 × 0.0054167 × 6.9918 ≈ 1,211,919。
- 分母:6.9918 − 1 = 5.9918。
- 返済額:1,211,919 ÷ 5.9918 ≈ 毎月202,262円。
この金額は元金と利息だけです。固定資産税、火災保険、管理費などは別にかかるため、毎月の住居費の合計はこれより大きくなります。
1か月目を手で確かめる
どの返済予定表も、簡単な計算で確かめられます。1か月目の利息は、残高 × 月利で 32,000,000 × 0.0054167 = 173,333円。返済額の残り、202,262 − 173,333 = 28,928円が元金の返済になり、残高は31,971,072円になります。2か月目は少し減った残高で同じ計算をし、利息173,177円、元金29,085円です。
最初のうちは利息の割合が大きい理由
利息はいつも、まだ残っている借入額にかかります。最初は残高が最も多いので、毎回の返済のうち利息の割合が最も大きくなります。残った分だけが元金を減らします。
この例の1年目に払う額は合計約242.7万円。そのうち約206.9万円が利息で、元金の返済は約35.8万円だけです。毎月残高が少しずつ減り、利息も少しずつ減り、元金の割合が増えていきます。これは金融機関のからくりではなく、大きな残高に利息がかかる以上、自然にそうなるのです。
| 年 | 支払った利息 | 返済した元金 | 年末の残高 |
|---|---|---|---|
| 1 | 2,069,469円 | 357,672円 | 31,642,328円 |
| 10 | 1,786,136円 | 641,006円 | 27,128,360円 |
| 20 | 1,201,421円 | 1,225,720円 | 17,812,890円 |
| 30 | 83,339円 | 2,343,803円 | 0円 |
元金と利息が逆転するとき
あるところで、返済のうち元金の部分が利息の部分を上回ります。このローンでは233回目、約19年後です。そこからは残高が速く減り、最後の返済は元金201,172円、利息はわずか1,090円です。
そのため、早い時期の借り換えや売却は期待外れになることがあります。10年返済した時点で合計約2,427万円を払っていますが、元金が減ったのは約487万円だけ。残りの約1,940万円は利息です。
残高はどう減っていくか
残高をグラフにすると、直線ではなく曲線になります。長いあいだゆっくり減り、最後に急に減ります。
このローンで残高が3,200万円の半分を下回るのは、257回目、約21年5か月後です。売却や住み替えの可能性があるなら大切な点です。最初の数年の住宅の資産価値(純資産)は、返済よりも頭金と物件価格の上昇から生まれます。
返済期間で総額はどう変わるか
期間を長くすると、元金をより多くの回数に分けるので毎月の返済額は下がります。しかし1年延びるたびに、大きな残高にもう1年利息がかかります。同じ3,200万円・年利6.5%で3つの期間を比べます。
| 返済期間 | 毎月の返済額 | 利息の総額 | 総返済額 |
|---|---|---|---|
| 15年 | 278,754円 | 18,175,784円 | 50,175,784円 |
| 20年 | 238,583円 | 25,260,017円 | 57,260,017円 |
| 30年 | 202,262円 | 40,814,236円 | 72,814,236円 |
30年から15年にすると、毎月の返済は約76,493円(38%)増えますが、利息の総額は約2,264万円減り、半分以下になります。期間が短いローンは金利も低いことが多く、差はさらに広がります。
適した期間は計算だけでなく家計で決まります。長い期間は毎月の負担が軽く、余裕を持てます。長めの期間で借りて、余裕があるときに繰上返済する、という中間の方法を選ぶ人も多くいます。
金利で総額はどう変わるか
長期のローンでは、わずかな金利差が大きな金額になります。大きな残高に何年もかかるからです。同じ3,200万円・30年の場合:
| 金利 | 毎月の返済額 | 利息の総額 |
|---|---|---|
| 5.5% | 181,692円 | 33,409,293円 |
| 6.5% | 202,262円 | 40,814,236円 |
| 7.5% | 223,749円 | 48,549,511円 |
ここでは金利1%の差が、毎月約2.1万円、総額で約757万円の利息になります。だからこそ、複数の金融機関を比べ、固定金利と変動金利の違い、団信や保証料を含めた総コストを確認することが大切です。
繰上返済の本当の効果
予定より多く払った分は、すべて直接元金の返済になります。これで以降の毎月の利息がかかる残高が減り、効果が積み重なっていきます。
- 毎月1万円多く返すと、利息が約617万円減り、完済が3年10か月早まります。
- 毎月3万円多く返すと、利息が約1,384万円減り、完済が8年10か月早まります。
- 1年目の後に100万円を一度だけ繰上返済すると、利息が約505万円減り、完済が2年5か月早まります。
毎月少しずつか、まとめてか
追加のお金は早く入れるほど効果が大きくなります。何十年も利息がかかるはずだった残高を消すからです。借入初期のまとまった繰上返済は強力で、毎月の少額の上乗せは続けやすいのが利点です。ボーナス時の繰上返済と毎月の上乗せを組み合わせる人も多くいます。
繰上返済の前に確認すること
- 手数料。ネット銀行では無料のことが多い一方、窓口や固定金利期間中は手数料がかかる場合があります。
- 期間短縮型か返済額軽減型か。利息を減らす効果は一般に期間短縮型のほうが大きくなります。
- 住宅ローン控除。控除期間中は、繰上返済で控除額が減ることも考えて判断しましょう。
- 生活防衛資金。ローンに入れたお金は簡単には戻りません。先に手元資金を確保しましょう。
自動車ローンやフリーローンの場合
短いローンも同じしくみですが、利息が最初に偏る度合いはずっと小さくなります。利息がかかる年数が少ないからです。250万円を年利8.5%・5年で借りると、毎月51,291円。1回目は利息17,708円、元金33,583円で、最初から利息より速く元金が減ります。
1年目の返済のうち利息は32%で、30年の住宅ローンの85%とは大きく違います。5年間の利息は合計約57.7万円。同じローンを7年にすると毎月39,591円に下がりますが、利息は約82.6万円に増えます。
契約前には金利だけでなく実質年率で比べましょう。手数料を含む本当のコストがわかり、他社と比べやすくなります。
返済予定表の読み方
返済予定表(償還予定表)は、ローン期間中のすべての返済をまとめた表です。金融機関から受け取れるほか、このサイトの計算ツールでもすぐに作れます。各行には通常、次の項目があります。
- 回数または返済日:どの月の返済か。
- 返済額:毎月払う一定の金額。
- 利息:前回の残高 × 月利。
- 元金:返済額 − 利息。
- 残高:前回の残高 − 元金。
2つの簡単なチェックで、ほとんどの誤りは見つかります。どの行も利息が「前回の残高 × 月利」になっていること、最後の行の残高がゼロであること。金融機関の表と計算ツールが少し違う場合は、初回返済日、手数料、日割り計算などが理由であることがほとんどです。
よくある間違い
- 毎月の返済額だけで比べる。月々が一番安いローンが、総額では一番高いことがよくあります。総返済額で比べましょう。
- 期間を軽く見る。5年長いだけで、金利が少し高いローンより高くつくことがあります。
- 初期の返済で資産が増えていると思う。30年ローンの最初の10年は、払う額の多くが利息です。
- 終盤に新たに長期で借り換える。利息の多い時期を最初からやり直すことになります。残り期間は維持するか短くしましょう。
- 高金利の借入があるのに繰上返済する。まず金利の高い借入から返しましょう。
よくある質問
元利均等返済は最初のほうが利息を多く払うのですか?
はい。金利は同じですが、利息は残高にかかり、残高は最初が最も多いからです。そのため毎回の返済に占める利息の割合は最初が高く、毎月少しずつ下がります。
計算ツールがなくても返済額を出せますか?
M = P × r(1 + r)n ÷ ((1 + r)n − 1) の式で計算できます。べき乗の機能があるスマホの電卓で十分です。上の例で手順をすべて示しています。
15年と30年、どちらがよいですか?
15年は利息の総額がずっと少ない一方、毎月の返済額はかなり大きくなります。30年は家計に余裕を持たせやすい方式です。高い返済額でも無理がなく、貯蓄も続けられるなら、短い期間のほうが総額は安くなるのが一般的です。
繰上返済をすると返済予定表はどうなりますか?
繰上返済で元金がすぐ減るため、以降の利息が少なくなります。期間短縮型なら完済が早まり、返済額軽減型なら毎月の返済額が下がります。
変動金利でも元利均等返済ですか?
はい。ただし金利が変わると返済額が見直されます。日本の多くの変動金利型ローンには「5年ルール」「125%ルール」があり、返済額がすぐには変わらないこともあります。
元利均等返済のポイントは1つです。利息は残高についてくる、ということ。頭金を増やす、期間を短くする、繰上返済をする。どれかで残高を早く減らせば、利息の総額も一緒に減ります。下の計算ツールに自分の数字を入れて、契約前に年ごとの内訳を確かめてみてください。